《MUMEI》

急に退院が告げられた
 
…荷物1つない俺…
 
守屋「初めまして、私くし 、これから雅治様に仕え る、守屋と言います」
 「以後、お見知り置きを 」
 
60代だろうか、白髪をオールバックにした紳士だった 
守屋「早速、お着替えを」 
しつらえたようなスーツ
 
全てが、今の、俺に、ピッタリだった…
 
気味が悪い……
 
守屋「雅治様…お似合いで ございます」
 
嫌味無く、さらっと言えるあたりが、執事の器を物語る…
 
 
真っ白のマイバッハの扉を開け、俺を乗せた
 
マイバッハ…初めて、現車を見たな…
 
ドイツの高級リムジンだ
 
乗用車より、遥かに長い全長…
 
脚を投げ出しても、前席に、触る事もできない…
 
 
東京…千代田区のビルの間に、広大な敷地がある
 
マイバッハは、その門をくぐった
 
手入れされた庭
 
どこかの有名庭園を思わせる
 
都内にこんな場所が有ったなんて……
 
知らなかったな…
 
 
守屋「皆さん、お待ちかね です、雅治様」
 
ドアを開けられ、車から降りた
 
 
ズラリと並ぶ、人垣
 
雅「お待ちしておりました 雅治様」
 
雅治「……」
 
 
 
有無を言う暇も無く
 
神無月の総裁として、祭り上げられた
 
 
 
俺の意識は、優先されない 
 
1週間後に、俺は、正式に、神無月の総裁になると言う…
 
 
諸外国から、要人が訪れるらしい…
 
 
 
その晩
 
雅治「雅、俺は、こんなも の、望んじゃいないぜ! 」 
 
雅「定めです…望もうと、 望まなかろうと…」
 「貴方様には、これしか 道がないのです」
 
雅治「雅、お前がやればよ い!」
 
雅「私は、雅です、」
 「次の、雅は、雅治様が お決めになるのですよ」 
雅治「…」 
 
雅「はっきり、申し上げま す」
 「貴方様が、自由を望み 、全てを投げ出せば、」 
 「楓や茜だけではなく」 「ご友人達も、理不尽な 目に合ってしまいます」 
 
俺は、以前、爺さんに、
特権階級など、いらない
崩壊してしまえと言ったが 
歪んだ事実を、真実にするためには、力がいる…
 
関わった、全ての人が、居なくなれば……
 
大量虐殺か、地球崩壊か… 
……責任……
 
戸籍まで、偽り、俺は…
 
雅「…平和を願うなら…」 「どうか…私くし達の長 に…」
 「まだ、敵は沢山居ます 」
 「相手を倒さないまでも 、同等の力を持たねば、 平和の均衡が崩れてしま います……」 
 
雅治「……」
 
雅「……雅治様、ご決断下 さい…」
 
雅治「……」
 
雅「雅治様が、断るなら、 私くしは、雅、失格とな るでしょう…」
 「…自害を持って、責任 を取る、所存です…」
 
雅治「なっ!……」
 
……
 
雅治「…考え、……させて くれ……」
 
 
雅治「すまない……独りに なりたい…」
 
雅が席を立った…
 
 

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