《MUMEI》

「おーし、昼飯食いに行くぞーっ」

「───────」

「? 何だよ、腹減ってねーのか?」

「ん、ぁぁ‥ぃゃ、そうでも無いよ」

さて──

今日の彼女の昼食は

何だろう?

「‥!?」

「早くしろよ、飯食う時間なくなっちまうじゃねーか」

「ぁぁ‥済まない」

こうして

屋上に向かう途中も──

気付かれないようにしてはいるけれど

僕達は

お互いの事ばかり考えているんだ。

──あの頃から

ずっと。

そうだろう?

珠季──。

けれど僕らは

いつだってそれを隠そうとした。

隠す必要なんか

まるっきりなかったのに。

そうそう──

何かにつけて

色んな勝負をしたね。

覚えているかい?

君が僕に

千羽鶴を一晩で折るという勝負をしかけた事を──。

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