《MUMEI》
未来永劫…
「死ぬ訳じゃないんですか?」

「そうじゃ…。」

「なんだぁ…。」


死ぬのだと思い込んでいた貴士に、一筋の希望が見えてきた。


「そうですよね。たかが夢なんかで、まさかねぇ。
でも、だったら一体…?」
「いいか、よく聞け。」


老婆は真っ直ぐ貴士を見据える。


「夢に喰われると言う事は、夢から未来永劫出られないという事じゃ。
と言う事は、お前は未来永劫眠り続ける事になる。
…ここ迄は理解できるな?」
「はい。…つまり、植物状態になると…そういう事‥ですね?」

「まぁの。じゃが、問題は次じゃ。
もし、植物状態になったお前が、誰にも発見されなかったら、勝手に身は滅びていく。
逆に発見されたとて、いつかは生命維持装置を外される。」

「やっぱ死ぬんじゃないですか…。」

「いや、死なぬ。いや…死ねないのじゃ。

体がある内は、意識だけが喰われるが、体がなくなれば、魂ごと喰われる。

お前は成仏できずに、永遠あの夢の中を彷徨い続ける事になる。」

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