《MUMEI》

結局あの勝負も

僕が勝った。

けれど

彼女もかなり頑張っていたんだ。

彼女の疲れた表情を見た瞬間──

僕は一瞬でそれを悟った。

彼女も

一晩中

夜業していたんだって事を。

「オイ──何だよオマエ‥さっきからニヤニヤ‥」

「懐かしいな、と思ってね」

「は‥?」

珠季は

訳が分からないと言いたげな顔をした。

まぁ

いつもの事なんだけどね。

さて──

珠季が待兼ねているようだから

そろそろ昼食にしようか。

「──やはりメロンパンか」

「何だよ、オマエもじゃねーか」

「フ‥、今日はそんな気分になってね」

「‥? どんな気分だよ」

「メロンパンな気分って事さ」

「──意味分かんねーし」

珠季は呆れて

メロンパンにかぶりつく。

「つーかオマエ、最近やけに笑ってんな」

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