《MUMEI》
三者面談当日
(忍のヤツ…悪ノリし過ぎだ)


朝、忍に当たり前のように『行ってきますのキス』をされ、俺は不機嫌な表情で登校した。


…担任の服装が、いつもより気合いが入っているような気がした。


そして、放課後。


(…いた)


下駄箱には、俺が『ホストかヤクザだ』とからかった時と同じスーツの忍がいた。


(皆、離れてるな)


忍の雰囲気に、誰も近付けない


と、思ったら


「あら、素敵な体」


笑顔で話しかけている貴子さんがいた。


(やっぱり親子だ)


そう思いながら、俺は改めて『藤堂さん』と忍を呼んだ。


俺がそう呼んだ事で、俺の保護者イコール俺の恋人だと気付いた貴子さんの目が、更にキラキラした。


そして、貴子さんは、当たり前のように俺達と一緒に教室の前の廊下に来た。


(…目立つ)


志貴に、貴子さん


忍に、俺


そして、もう一組


美人の瀬川と、やはり美人の瀬川の母親


三者面談の順番は、普通に名簿順で


瀬川→俺(田中)→志貴(津田)なだけなのだが


廊下にいる俺達三組は、かなり注目を浴びていた。

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