《MUMEI》

来賓達が、帰った翌日
一族の会合が持たれた
 
神無月の血を引く男…
 
だが、賛成するもの達だけではなかった
 
雅「相談してるのでは、あ りません、結論を、お伝 えしてるのです」
 
雅が、静かに 強く言った 
雅「異議ある者は、この場 から、立ち去ってかまい ません」 
 
「……」
 
立ち去る者は居なかったが、不平不満を抱える者は、多いようだ…
 
新たな火種になるのかもしれない
 
 
 
皆が帰った後、
独り、月を見てた…
 
ビルの合間から見る月…
 
大気がどよめき、光が揺れてる
 
雅「お疲れになりましたか 」
 
雅治「…前途多難だなぁ… 」
 
雅「本当に、私くしが、雅 を務めてよろしいのです か?」
 
雅治「それが妥当だろ」
 「俺は、力不足のようだ …」
 
雅「…雅治様…」
 
 
雅が気にしてるのは
先ほど、龍之介が茜を連れて行った事だろう…
 
茜を、雅にすれば…
 
龍之介は、黙るしかなかった……
 
俺を助けた、代償として、茜は、龍之介と一夜を過ごす…
 
 
龍之介は、主に、アメリカを拠点としてる一派だ
 
水無月の反乱の件にしても、龍之介は多大な功績を上げた
 
久保田を討ち取ったのも、 
龍之介だ…
 
………
 
守屋「楓様がお見えです」 
 
楓「…雅治様…」
 
雅治「何も言うな…」
 
楓「……」
 
雅治「楓、…水無月を立て 直せ」
 「反乱者の掃討は、俺と 茜が引き受ける」
 
 「ケジメをつけ、示さな ければならない」
 
楓「はい」
 
雅治「雅」
 
雅「はい」
 
雅治「俺は家に戻る…」  
雅「かしこまりました」  「守屋、」
 
守屋「はい、雅治様、お送 り致します」
 
 
雅が用意した、新しい家
 
それは、皮肉にも
以前、美樹と真樹を連れ、引っ越した代官山のマンションの近くだった
 
高台にある広い敷地に、建つ3階建ての低層マンション
 
建物が弧を描いてる、変わった作りだった
 
1階から3階まで、1世帯が借り受けるタイプだ
 
ガレージ付きで200平米以上……
 
神無月の会社が経営する
セキュリティマンションだ 
大使館関係者や、大手企業のご子息が、住んで居るらしい… 
 
ゲートに警備がいる
 
エレベータホールにも…
 
金持ちは金持ちの中に居るのが、安全らしい…
 
俺には、理解できなかった…
 
もし、俺が狙われたら…
また、……無関係な人を、巻き込む…
 
 
守屋「雅治様…」
 
雅治「ん?…」
 
守屋「説明、おわかり、い ただけましたか?」
 
雅治「あぁ…後は、勝手に 使ってみるさ…」
 
守屋「雅様から預かった物 を、お渡し致します」
 「お疲れのようですので 、今晩は、お早めに、お 休み下さい」
 
雅治「ありがとう、そうさ せてもらうよ」
 
守屋「……では、私くしは 、これで」
 「失礼いたします」
 
 
柴崎の免許証か…
 
戸籍まで、いじれるなら……死んでも…
 
俺には、理解出来ない世界かもしれないな…
 
所詮…普通の世界の人間だ…
 
…ん…留守電を知らせるランプが点滅していた
 
雅からだ…
 
『雅治様、お帰りなさいませ 
御自宅では、普段の雅治様で居て下さい、 
余り、張り詰めてばかりだと、お疲れになります 
一通り、準備してありますが、何かありましたら、申し付けて下さい 』
 
冷蔵庫を開けると、ビールが入っていた…
 
……あいつらは、ビールとか飲むのかなぁ?…
 

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