《MUMEI》

「つってもオマエ、いっぺんはヤロー共はった押したじゃねーか」

「ぁぁ‥あの時はたまたま──」

君が

あまりに派手にやられていたものだから

見るに見兼ねて──‥

‥というか‥

ただ

君が傷付くのが嫌だったんだ。

大切な人が傷付く事程

辛い事はないからね‥。

けど

あいつらを負かせる事が出来たのは‥

君という存在がいたからだ。

そうじゃなければ

あんな不良達を相手に‥

僕が勝てるはずはない。

「──君がいたからなんだからな」

「ふーん‥‥‥」

目を逸した珠季の頬が

少しだけ赤く染まった。

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