《MUMEI》
裏サイト
三人は全力で繁華街まで走った。
「こ、ここまでくりゃ平気だろ」
肩で息をしながらタツヤが言う。
「…けど結局どういう理由か聞けなかった」
息を整えながら、彼は自分の手を眺めた。
結局、あの二人を倒したのはタツヤだ。彼は一発しか殴ることは出来なかったのだ。
しかしその一発は彼にとって、とても重い。
そんな彼を慰めるようにタツヤは背中をポンポン叩いてやった。
「ここにいても、何もわかんねえし、とにかくネットカフェ行こうぜ」
「調べて何かわかるとは思えないけどね」
「お前はなんで…」
そう悪い方に考えるんだ、と言いかけたタツヤの視線が、レイカの手に止まった。
「……なあ。それ、捨てたほうがいいぞ。警察に捕まる」
その言葉に彼が振り向くと、レイカは血のついたバットをしっかり持って歩いていた。
これでは間違いなく不審人物だ。
「ああ、忘れてた」
何をどう忘れてたのかは知らないが、とにかく彼女は人目のつかない場所へバットを投げ捨てる。
それから三人は近くのネットカフェへと向かった。
「いよし、じゃあ頼んだぞ」
三人は、目立たないよう揃ってボックス席に入り、情報収集を開始した。
代表して彼がキーボードを打つ。
「何て検索するんだ?」
「そうだな……宝くじ、銀行、拉致かな」
言われた通りに打ち込む。
しかし、それらしい情報は見当たらない。
「よく考えたらさ、宝くじって落ちてたのを拾っただけだろ?そんで、拉致されたなんてことも本人しか知らないよな」
つまり、いくら探しても関係する情報は得られないということだ。
「…確かに、そう言われればそうか。じゃあ、どうしたらいいんだよ?」
彼の言葉に納得しながら、タツヤは頭を掻いた。
「あたし達の名前、検索してみたら?」
ポツっとレイカが提案する。
「あ、そうだな。それで今、俺らが社会的にどうなってるかわかるかも」
彼が三人の名前を打ち込んでいく。
「おお!出た……けど、何だよこれ?」
彼が開いたサイトは、殺人依頼など危ないことがいろいろ書かれた裏サイトだった。
そこに、三人の名前が、なんと写真入りで載っている。
「この三人を殺した人に賞金三億円…?」
彼が読み上げる。
「何だ?ふざけてんのか」
「この写真、あそこにいた時のだね」
レイカに言われ、よく見ると、確かに服や背景があの時と同じだ。
「てことは、これは」
「奴らが書き込んだってことだね」
三人は顔を見合わせた。
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