《MUMEI》 そして震える口元から、最後の力を振り絞るように語りかけた…。 『猪俣よ……………… …縁(えにし)を絶とうぞ…。』 柳沢の目から大粒の涙が溢れた…。 猪俣もうつ向いて肩を震わせた…。 『…行け… …これで……お前を縛るものは………何も無い…。』 柳沢は静かに眼を閉じる…。 猪俣は袖口で涙を拭い、席を立った。 そして柳沢に深々と一礼し、病室を出た…。 そこに居るのは全てを失った只一人の鬼神だった…。 前へ |次へ |
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