《MUMEI》

「藤澤‥先輩‥?」





僕は、

この人を知ってる。





藤澤藍伊──

僕や芙原さんの先輩。





でも‥

どうして藤澤先輩がここに──。





「桐生君も心配なんですね──緋色ちゃんの事」

「ぇ、先‥輩‥?」





先輩も──

芙原さんの事が心配で‥?





「──お見舞い──一緒に行きますか?」

「一緒、に‥?」

「私も、独りだとなかなか──。でも──桐生君となら大丈夫だと思うんです」





そう言ってから先輩は、

俯いた。





「‥ぁ‥ごめんなさい、迷惑──です‥よね?」

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