《MUMEI》 「そ‥そんな事ないです、助かりますっ──」 僕がそう言ったら、 藤澤先輩が笑った。 「良かった──」 ニコッ、 と笑って── 少しためらいながらインターホンを鳴らす。 「───────」 でも、 中から誰かが出て来る気配はない。 「あれ──‥お留守なんですかね‥?」 「芙原さんの両親は共働きだから──もしかしたら芙原さん独りぼっちなのかも‥」 「面会拒絶‥ですかね──」 藤澤先輩が、 困った顔をして考え込む。 「どうしましょうか──」 「カーテンもしまってますし、ね‥」 前へ |次へ |
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