《MUMEI》

そして──

デートの前日に

僕は

その手紙を渡した。

珠季は不信がっていたけど──

それを読んでくれたらしい。

暗号を解くまでに

少し時間が掛かったようだけどね──。

そして翌日‥

彼女は待ち合わせ場所に現われた。

パーカーにジーンズという

かなり男子的な出で立ちで。

彼女は

男物の服を好むらしかった。

華奢な彼女には

少しぶかぶかなようだったけれど──

あれはあれで

なかなか似合っていたな──。

けれど

やはりあの時見立てたワンピースの方が

彼女にはよく似合っていた。

ワンピースだけじゃない。

シュシュも

ブーツも──

全て

彼女に似合っていた。

似合わないはずがない。

僕が見立てたんだからな──。

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