《MUMEI》
電話
「お〜、こえ〜!そんな怒鳴らないでくださいよ〜」
「いいから、言えよ」
タツヤはイラついた様子でリュウジを睨み付ける。
するとリュウジはわざとらしく溜め息をつき、肩をすくめた。
「電話がね〜、あったんすよ〜」
「電話?誰から?」
「さあ?な〜んか、やたらとテンション高い女で〜。理由は言わなかったけど、タツヤさんとその他二名を殺したら、な〜んと三億くれるって言うじゃん!」
リュウジは指を三本立てて、突き出した。
「そんで?そのふざけた電話を本気にしたわけ?」
「ま〜さか〜。いくら俺でもそこまでバカじゃね〜し?でも、最近俺らヒマだったし?ほかにすることもねえし?ったら、妙な電話に踊らされるのも、楽しいかな〜とか思って?」
いちいち語尾を上げる喋り方がカンに障る。
「よっぽどの暇人だな。お前ら、ほかにすることないのかよ」
鼻で笑うタツヤの言葉に、リュウジはまた肩をすくめる。
遠くからパトカーの音が近づいてくる。
様子を見た誰かが呼んだのだろう。
「お前が俺に勝てるわけないじゃん。実際、一回も負けたことねえし」
「まあ、昔のことは置いときましょ〜よ。俺、今、か〜な〜り〜、強いし?」
「へえ?試してみるかよ?」
「ん〜。やだ」
「怖えのか?だよなあ?お前にそんな度胸ないもんなあ?」
リュウジの眉がピクリと動く。
しかしすぐに元の表情に戻った。
「いや〜、やっぱ、止めた。だぁ〜って、タツヤさん銃持ってんじゃん。あぶね〜じゃん。
だりぃし?ついでにパトカー来てっし」
「そうかい。そんじゃ、俺は行くわ。お前らの遊びに付き合ってる暇はないんでね。じゃあな」
タツヤは銃を構えたまま走り出した。
後ろから追ってくる気配はない。
そのかわり、リュウジの笑い声を背中に聞いた。
「タツヤさ〜ん。今日は〜挨拶っスから。ま、ゲームは始まったばっかだし?楽しんでいこうぜ〜!!」
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