《MUMEI》

『林?』


『……先生、……
おめでとう!』

声が震えないように
ありったけの勇気を
振り絞った。


『うん、ありがとう
ってか照れるな。

ところで〜林の話は
何だったの?』


『あ、のさ…三年間
ありがとうございま
した!』

俺は深く頭を下げた。


『うっ…バカヤロ!
し、式の前に言うな
不意討ちだよっ!』


先生は目に涙を溜め
て言った。


『あ、そろそろ式始
まるぞ!俺は先行く
からな、遅れんなよ


バタバタと走り出す
先生の背中に呟いた


…先生、こんな涙で
グチャグチャな顔で
卒業式なんて出れね
ーよ…



…end…

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