《MUMEI》
合流
公園に着くと、すでにタツヤがブランコに座って待っていた。
「遅い!何やってたんだよ?なんで俺のが早く着いてんだっつーの!」
タツヤは不満げに立ち上がった。
「悪い。途中レイカとはぐれてさ、探してたら遅くなった。で?怪我は?」
彼は謝りながらタツヤに様子を尋ねた。
「余裕だ。怪我はないけど、結構まずい感じになってる。あ、これサンキュー。やっぱ、効果抜群だな」
タツヤは律義に銃をレイカに返した。
「まずい感じって?」
「Jデリーだよ。町中にメンバー散らばって俺らを狩ろうとしてる」
「知ってる。さっきここに来るまでに、何人も見たから。襲われたし。
めんどくさいことになったね。しつこそうな奴らだし」
レイカが冷たい視線をタツヤに送る。
「え〜、俺のせいかよ?」
「そうとは言ってない」
「言ってんだろ。その冷たい目が!
言っとくけど、俺がJデリーにいたのは何年も前のことだぞ?その頃のJデリーは他人に迷惑をかけないように、派手に遊ぼうってのがモットーで。
今とは比べものにならねえほど健全なギャンググループだったんだぜ?」
「ギャングって時点ですでに健全じゃない」
うるさそうにタツヤを見ながら、レイカは一言返す。
「なんだと?この……」
「それで?どうすんだ?ここもそのうち見つかるだろ?」
彼はしつこく言い合う二人に向かって言った。
タツヤは我にかえり、頭を掻きながら、「そうだな」と彼の方に向き直った。
「とにかくどっかで時間潰すしかない。金がかかんなくて、人も多くて、長時間いれるトコ」
「…図書館とか?」
「ああ、いいね。そこならあいつらも来ねえだろ」
さっきまでのケンカ腰はどこへやら、レイカの提案にあっさり賛成し、三人は公園を抜け出た。
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