《MUMEI》

次巡…



〆華は「鳳凰」を射止め、三光を「こい」した。



兼松も懸命に"タネ"を4枚まで集め、逃げ切りを図るものの、〆華の手に握られた「盃」の合札の前には無駄な抵抗だった。



〆華は文字通りの"切札"…「菊の青札」を「盃」に合わせた。



『勝負。…三光…月見……11文です…。』



兼松の表情が醜く歪んだ。



女を弄ぶことに至福の悦びを感じるサディストは、自分が弄ばれる屈辱には、あからさまに嫌悪感を露にする。



いささか滑稽な光景でもあったが、自己至上主義者であるこの男にとっては、何ら不自然な行動では無いようだ…。



10月… 〆華 38―41 兼松



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