《MUMEI》

「?」

「アタシは、別に‥」

すっかり意気消沈した珠季は

僕を指差していた手を下ろして

片足は椅子に乗せたまま──

何と言い返そうか考えているようだった。

「だぁーッもォやってられっか!」

「‥!?」

何だ‥

今度は怒り出したぞ‥。

「変わったとか変わってねーとかくだんねー事言ってんじゃねぇッ。つーかアタシは変わる気もねーしそうなったつもりもねーかんなっ」

「───────」

「何だよそのツラ!? やってやろーじゃねーかっ」

「──フ‥」

「んなッ‥てっめ‥笑いやがったな!?」

珠季は憤慨して

ガンッ

ガンッ

と椅子を蹴った。

怒った表情をしているけれど──

何故か

彼女は楽しんでいるように見えた。

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