《MUMEI》

人間の手指のようなものが、沙知の秘部に侵入。いちばん敏感なところを圧迫され、攻められる。クリトリスを見つけると1分間に100回のスピードで弾きまくる。
「ちょっと!」
沙知は顔を赤くして腰を浮かした。
「止めなさい。早く!」
「止めません」
マシーンに攻められる沙知を、見冬はただ見ているだけだ。
「罪を重くするなんて愚かよ」
「刑事さん。心配しなくても、私は機械を止める気はありません」
「ふざけないで。早く止めなさい!」
「止めません。泣きながら哀願しても止めません」
「だれが哀願なんか」
沙知は、捜査会議で自分が言ったことを思い出した。感じたら、女として負け…。
彼女は唇を結んで耐えた。手足を固定されているから、思いきり腰を動かして機械を外そうとしたが、無駄だった。
すると、見冬が笑う。
「腰をくねらせる刑事さん。セクシーですね。そんなに気持ちいいですか?」
沙知は怒りと恥ずかしさでカーッと顔が真っ赤になった。
「勘違いしないで!」
「勘違いしているのは刑事さんですよ」
「何!」
「だって、クリトリスだけでヤバいことになってる。Gスポットを探り当てられないことを祈りましょう」
まさか。それが、これからとは。
「女の子は弱点を攻められたら、どうにもならないってことを、教えてあげます」
いちいち神経を逆撫でする。これも手か。沙知は迫り来る快感にひたすら耐えた。
「そろそろですね」
「え?」
まさか。
「あ…あああ、あああ!」
今まで経験のない気持ち良さが下半身を直撃した。沙知はたまらずのけ反ってしまった。
「止めなさい!」
「止めません」
見冬は顔を近づけて来た。唇が触れそうなほどの近さだ。
「刑事さん。犯人に虜にされたら、刑事失格ですよ」
「あ、止め、あああ、あああ、ダメだ、早く、いいから止めなさい!」
乱れまくる沙知に、見冬は言葉を浴びせる。
「そんな色っぽい声で泣いたら、人に医師失格なんて言えませんね」
屈辱。
沙知は見冬の顔面に唾を吐いた。
「あっ…」
見冬は怒ると、赤いボタンを押した。マシーンは激しく振動し、電気ドリルマッサージが作動した。
「あああ、あああ、あああ、あああ!」
弱気な表情で口を開けて悶える沙知。見冬は興奮した。
「さあ、どうします刑事さん?」
ダメだ。どうにもならない。
沙知は失神しそうなほどの快感に、頭の中が真っ白になった。悔しいなんてものではない。
「止めなさい!」
「止めません」
まずい。耐えられない。本当に失神してしまう。失神なんかしたら敗北だと思った。沙知は必死に抵抗した。
バン!
ドアが開く。有島課長だ。見冬の白衣を掴む。
「止めろ!」
「命令では止めません」
福嶋淳平も入って来た。
「淳平君、機械を止めて!」
半裸の沙知が叫ぶ。淳平は慌てた。
「え、どうやって止めるの?」
「早く止めて!」
有島と淳平の見ている前で昇天してしまうのは凄く恥ずかしい。沙知はそれだけは避けたかった。
「停止ボタンはどこだ?」白衣を掴みながら有島が怒鳴る。
「知りません」
「貴様!」
沙知は限界。泣き顔で言った。
「バカ、早くして!」
「どこだ言え!」
有島は首投げでひっくり返す。
「言え!」
「つまみを強にすれば止まります」
「強?」
淳平はつまみを強にした。
「あああ、あああん!」
嘘だった。
「貴様!」
有島は怒って頸動脈を締める。
「言え」
「ぐ、ぐるじ…」
今度は落ちたふりをして寝てしまった。
「バカ、テメー、起きろ!」
沙知は本気で悶えた。
「淳平君、助けて、絶対やだから!」
もう犯人は当てにならない。淳平は機械の周囲を探した。
「早くして、早く早く早く」
青いボタン。
「バカバカバカ、止めて、止めて……」
青いボタンを押した。止まった。
沙知は打ちのめされたように、がっくりと力が抜けた。
「はあ、はあ、はあ……」

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