《MUMEI》

「──‥────」

「もう気は済んだかい?」

「うっせーな、別に元々イラついてた訳じゃねぇ」

「──フ、そうか──。なら僕の勘違いだね」

「そ‥そーだよっ、勘違いに決まってんだろ!?」

「そんなに強く言わなくても分かってるよ──」

「いんや、分かってねー」

「それは困ったな──。君にも分かるように言ったつもりだけど」

こんな喧嘩腰なやり取りも

楽しいと思えてしまうんだから

不思議だ。

まぁ──

相手が彼女だから

なんだろうな──。

彼女以外と

こんなやり取りをしても──

たぶん

楽しいとは思わない。

気兼ねなく張り合ったり

言い合ったり出来るのは──

思いの外

楽しいものだ。

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