《MUMEI》

アジア人は皆見た目が若いから判断がつかないな…。

「まずいな…」
「大丈夫ですよ飲まなきゃいいんですから、目の前に大人の方も居ますし///」

日本はそういう場所に居るだけなら大丈夫なんだそうで、そういう飲食店や未成年が居てはダメな場所でも働いている未成年もたくさん居るそうだ。

「そんなモンなのか?」

一方では厳しかったり、かというと緩々だったり。

ますます不思議な国だな…。




実の所、夏休みというのは形ばかりで一ヶ月ばかり日本を偵察してこいというのが社長である親父の指令だった。

もう一つ、親父からの指令…。

『向こうで可愛い恋人を見つけてきなよ〜♪』

と、こちらの方が本来の指令なのではと思うくらい親父の方がウキウキしていた。

そんなのすぐに出来るか…と思っていたが…。

日本に着いたその日のウチに、ホテルで運命的な出会いをしてしまった。

アキラ…。

一緒に…ドイツに来てくれるだろうか…。




「日本のビールは薄いなぁ…」
「それドイツのだと思うんれすけど…」
「日本で飲んでるからだろうなぁ…」
「えへへ///」

ふと、アキラの方を見るとなんとなく頬が赤く、何故か呂律がおかしくなっていた。

ビールを飲んでいるのは俺だけの筈で、彼のために頼んだジンジャエールはノンアルコールの筈なのだが…。

「…匂いだけで酔うのか?」
「う///…すみません僕ダメなんです」

あきらは消毒用のアルコールに触れただけでも赤く反応してしまうくらい弱いらしい。

そんな人間は初めて見たな…。

「そんなんじゃ…ドイツに行ったら空気吸うだけで酔うぞ…」
「えっ、ドイツに?」
「そうだ、来ないか…ドイツへ///」

突然言われた事を理解出来ないようで、アキラは目を丸くさせながら俺の事を惚けた顔でポカーンと見つめていた。

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