《MUMEI》

「わ…私も向こうで一人で暮らしてるから寂しいんだ…」
「えっ…ぁ///」

日本のような一人暮らしを想定していないこちらの部屋はただただ広くて、俺一人では持て余し気味になっていて、使っていない部屋なんかもあるくらいだったから。

アキラが来てくれれば、この寂しい生活にも終止符が打てる。

そうアキラを見つめながら言うと、こっそり周りには見えないようにテーブルの下でアキラと足を絡め合った。

= = = = = = = = = = = = = = = = = = = =

「でも、あの…僕、ドイツ語とか話せないし、わからないし…マナーとかも…どうしたらいいんだか…その///」

テーブルの下で足を絡められて、そんな行為に慣れてなくて戸惑ってしまう。

僕はお酒も入ってないのに頬から耳まで真っ赤になって、きっと酔っぱらっているように見えるいるんだろうな…。

緊張で心臓が痛いくらいドキドキして、頭がクラクラして…目の前がチカチカしてる。

そんな状態の中、精一杯の自分の気持ちを素直に伝えた。

「あの…その……こんな僕でも側に置いてくれますか‥‥?」

こんな僕でもいいのだったら…貴方と一緒にいたい。

「当たり前だ、こんな私でもキミの側に置いてくれるかな?」
「え、…も、もちろんです///」

質問に質問が返ってくるとは思わなかった。

もちろん克哉さんは立派な人で、僕が側に居られる事自体申し訳ないな…と、思ってしまうくらいだった。

「…貴方が、日本語が話せる人で良かったぁ///」

僕の気持ちが伝えられるのは、今のところ日本語だけだから……。

「言葉が不自由でも、キミの側に居られるのなら私は一生懸命つたない日本語でも話しただろうさ」
「え…あぁ」

そうだよね…気持ちって、言葉だけじゃないか。

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