《MUMEI》
gemacht in japan.日本製。
  
バイトが終わって店を出ると、初めてこの花屋で出会った時のように外で克哉さんが待っていた。

「やぁ、アキラ」

彼の姿を見た瞬間、僕は克哉さんとのホテルでの事を思い出して…顔だけじゃなく身体まで熱くなってくるようなカンジがした。

「どうしたんだ、耳まで赤いぞ」

そんな事言われても///

思い出すだけで身体が火照ってきて…。

今すぐココで泣きだしてしまいたくなった。




気分を落ち着けると、心配している克哉さんに『大丈夫です…』と言って向き直った。

克哉さんは『よかった』と言って笑顔になったかと思ったら、僕の腕を掴んで駅の方角へ歩きはじめる。

今日もホテルに行くんだろうか…。

そう思ってドキドキしていたら、あのホテルではなく克哉さんが俺の部屋に来ると言い出した。

「そ、そんな!狭いし、おもてなしなんか出来る状態では…」

そう言っても克哉さんは『日本の部屋が狭い事ぐらいは知っている、私は日本生まれだ!』と言い、断固として僕の部屋に行くと言って聞かない。

改めて克哉さんを見ると、前より大きな荷物を抱えていてお泊まりする気満々のスタイルだった。

「だってベッドなんか無いし、予備の布団無いですし…あのι」
「一緒に寝れば、いいじゃないか♪」

…やっぱり。

結局諦めてくれそうにないので、気の弱い僕の方が折れてしまって一緒に駅への道を歩いていった。



駅の切符売り場の前まで来ると、ある売場の前で止まっていた。

「どうしたんですか?」
「いや…コレはどうしたらいいんだ?」

克哉さんが指さした表示には緑色でSuicaと書いてあって、事前に調べてはいたらしいが、詳しくは分からなかったらしい。

「あの〜コレはですね…」

僕が克哉さんに説明すると、顔写真や証明書類のいらない、しかも有効期限が無い日本の改札システムに興味を持ったらしい。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫