《MUMEI》

「あう〜あきらしゃ〜ん、ムギュ〜だよぉ〜きゃー///」
「あ、くるみちゃん…やっ…止めて下さい///」
「克哉の今の恋人、可愛いじゃな〜い♪」

トリスタンさんの顔がキスしてくるんじゃないかってぐらい凄く近くにくると、高い鼻が僕の頬に触れてきて、腕を掴まれた僕はドキドキしながらも半泣きで抵抗していた。

「何をしている…」
「あっ、克哉さんっ///」
「克哉〜♪」
「にいちゃ〜!」

突然後ろから克哉さんが姿を現すとトリスタンさんは嬉しそうにソファーから立ち上がって、克哉さんに飛びついていった。

「あっ…」

でも克哉さんはそれを受け流すと、僕達の間に挟まれていたくるみちゃんを抱き上げて、そのクシャクシャになった髪の毛を直しながら僕に向き直った。

「挨拶は済んだから行こうか…家具は後日届くそうだ」

そう言って克哉さんは僕に立つように促した。

= = = = = = = = = = = = = = = = = = = =

「さぁ帰るぞ」
「にーたん、おりぇお腹減った〜♪」
「あぁ、そうだなどこかレストランにでも寄ってくか…どうした」

何だかさっきからアキラの様子がおかしい、ソワソワと落ち着きがなく何か聞きたそうに私を見つめている。

「あ…あの…ぅ///」
「カツヤ〜私も一緒に行く〜♪」

そう言いながらトリスタンが子供のように背中に抱きついてきた。

これはいつもの事なのでそのままにしていたら、その姿を見たアキラが今にも泣きそうな顔になってしまった。

「…は、離れろトリスタン、アキラ違うぞこれは…」
「いいんです…克哉さんにそういう人が居るのは…当然ですよね…」
「何なんだそれは!」

何を勘違いしているのだろうか、日本人らしく奥ゆかし過ぎるあきらは唇をキュッと結び、分かりやすいくらい今にも泣きそうなのを我慢している様子だった。

「トリスタンさんと…仲がいいんですね…」
「それは…」

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