《MUMEI》
夏祭り。
克哉とあきら。「Neuer alterer Bruder.(新しいお兄ちゃん)」の続き。
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「ねぇねぇ見て見て武〜♪」
「…それ女モノだぜ」
「分かってるよ〜♪」
「…ならいいや」

真夏の暑い部屋でうだりながら、そろそろクーラーでもかけて昼寝でもしようかと思っていた所に、双子がいきなり押し掛けてきた。

かなたの奴は女の子が着るような花柄の入ったピンク色の浴衣をヒラヒラさせながら、嬉しそうに俺の目の前でクルクルと回って俺に見せてきた。

(女装、というかそういう格好が好きなんだよな…)

逆にかなたが教室なんかで男子の制服を着ている姿を見ると、まるで女の子が男の子の格好をしているようで…何だか燃える。

それにしてもこいつらは若いと言ってももう高校一年生で、一応半分は外国人の血が入っているから俺よりもっと年上に見えちまってもいいくらいなのに、まるでそれを無視するような外見だった。

はるかの奴はそれでも克哉さんに似ていて若干男らしく見えるものの、やっぱりかなたと同じくまだまだ柔らかそうな頬とか子供っぽくて可愛らしい所があった。

…俺がこんな事考えてるとか、コイツが知ったら怒りそうだけどな。

「ねぇ、武〜やっぱり武は日本人だから着物似合うのかな…浴衣って持ってる?」
「…持ってるけど…どうすんだよ」
「夏祭り行こ♪」
「ふん…本当はお前のこと誘いたく無かったんだけどな…」

やっぱり可愛いくねぇはるかの奴の頭を鷲掴みにすると、いっちょまえに暴れやがって、そんな俺達を見ていたかなたは面白がってケラケラと笑っていた。


夏祭り、か…久しぶりに行ってみるかな。

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