《MUMEI》
本家本元
《最近はそういう仮装が流行っているのは知っていたが…》


今年の高山家のクリスマスパーティーの様子を報告すると、忍は呆れた様子だった。


去年のセクハラ三昧なクリスマスを思い出し、忍を警戒していた俺だが


今年、忍が押し掛けてくる事は無かった。


去年出席しなかった三者面談に出る為にこちらに来たから、多忙な忍はクリスマスに休みをとれなかった。


「俺もびっくりした。衣装もちゃんとしてたし」

《そういえば、お前はメイドだったんだよな》


(何だよいきなり)


執事の衣装についての話だったのに、嫌な事実を述べられ、俺は少し間をおいてから、肯定した。


《知ってたか?祐也。執事の仕事の中には使用人の管理…つまり、メイドの管理も含まれるんだぞ》

「だから?」

《せっかくだから、お前が立派なメイドになれるように

調教してやろうか?》


ククッと堪えきれないように忍の妖しい笑いが電話越しに聞こえ


寒気がした。


「いらねーよ!忍の馬鹿!!」


その日の俺のヒステリックな叫びは隣の屋代さんにも聞こえたが


恋人の忍がクリスマスに来なかったからだと勝手に解釈された。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫