《MUMEI》

「──それじゃあ、僕はこれで」

「‥なぁ、シズル」

「何だい?」

「‥っと‥、‥‥‥あんまり‥こん詰めんなよな」

「──気に掛けてくれているのかい?」

「ち‥違ぇッ。そんなんじゃねーよっ」

大袈裟な位に

赤くなる珠季。

──可愛いな──。

「な‥‥‥何見てんだよっ」

「ぁぁ‥‥‥ぃゃ‥」

何をこんなにも‥

僕はどぎまぎしているんだ‥?

「ぁ‥? 何だよテメェ」

「だ‥‥‥だから‥」

落ち着け‥

僕‥。

「おい、静──」

「ぁ‥も‥もうこんな時間だッ‥」

塾に遅れてしまうじゃないかっ‥。

「じゃ、じゃあ‥もう行くよ。また明日──」

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