《MUMEI》
杏里との別れ
恵との会話を終えたあと、すぐに翔貴は杏里のもとへと向かった。


「なぁ杏里」

「わかってる…別れたいんでしょ?」

「そうなんだけどさ…」

「私ね、だいたいわかってたよ。翔貴が恵ちゃんを助けてあげた時から。本当は私なんかじゃないんだって、でしょ?」

杏里は哀しげな表情で尋ねた。

「うん…」

「私、もう一回やり直したいな…ううん、でもそれは叶わない、だから今度は翔貴を私のものにしてみるから、だから…だから翔貴が別れたいならいいよ…次は絶対私が捕まえるんだから」


そう言った杏里の瞳は涙で濡れていて、頬には涙がつたっていた。それでも美しい笑顔は輝いていた…

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