《MUMEI》

芒田は両手を縛られ自由を奪われた上に、天井から垂れ下がる鎖に吊されていた。



そしてその顔は、幾度となく殴打を浴びて、無惨に腫れあがっている。



猪俣は"松の字"なる人物の情報を聞き出すべく、芒田を荒っぽく締め上げていた。




だが甲斐性無しとはいえ、そこは元萩原組の筋者…


こんな仕打ちを受けた相手をむざむざと許す筈もなく、簡単には口を割りそうに無い。



『………。』



芒田は、まだ猪俣を睨み返すだけの虚勢を失ってはいなかった。

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