《MUMEI》

AM5:25 ――



東京地検特捜部が会社に踏み込んできたのは、シュレッダー屑を溶解液で満たしたタンクに流し込んだ後だった。



地検の連中は、何も出てこないであろう"表向きの証拠品"を、トラック1台分の段ボールに詰め込んで去っていった。



その様子を疲労の滲む面持ちで見送る男達がいた…。



J社長「どうにか間に合ったな…。」



S専務「えぇ…。これで暫くは安心ですね…。」



K部長「きっと大丈夫ですよ…。」




だが…



小声で談笑を交わす三人を他所に、A常務だけは険しい顔を崩すことは無かった…。



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