《MUMEI》
槍使いの進む先は・・
「気に入って貰えたようでよかった。それと、これも渡しておく。」
そう言うと、いつの間にか手に持っていた腕輪を渡してくる。
「指輪と同じように魔力を収束して使うものだ。」
腕輪に魔力を収束すると・・狩月に前に半透明のウィンドウが展開する。12に区分けされていて右上には〔0,2kg/12kg〕と表示されている。
「何ですかこれ?」
「消耗品を入れておくアイテムホルダーは持っているだろう。それの拡張版だ。最大12kgまでアイテムを収納することができる。もっとも取り出すには少し時間が必要なのだが・・戦闘に必要の無い物はそこに収納しておけば邪魔にならないはずだ。後、一つアイテムが入っているだろう?それには武器の手入れの仕方をまとめてある。何かの役に立ててくれ。」
そう言うと背を向け、歩き去って行こうとするリース。急いで礼を口にする。
「ありがとうリース!」
リースは足を止めると、
「気にしないでくれ。狩月、さよなら。」
そう言うと歩みを再開させる。一瞬リースの姿が霞んだように見え、不安になって声を再びかける。
「リース、また今度ね!!」
声が聞こえなかったのか、リースは無言で歩き去って行った。
(また今度・・か、もう会うこともできないだろうな・・迷うな、迷うな。これでいいんだ・・注意はした、後は・・・運の問題だろう・・)
背後から聞こえた狩月の声に、声に出さずに返事をする。必死に自分に言い聞かせ、歩く。これでいいのだと・・・迷う必要は無いと・・自問自答しながら・・
(姉さんに憧れて伸ばした髪・・切らずによかった・・)
足早に公園から出ながら思う、泣きそうな自分の顔を隠してくれるから・・と
リースが公園を出て行くのを見送った後、狩月は、リースから貰った腕輪を使用し、武器の手入れの仕方をまとめた物と言っていたアイテムを取り出す。
「・・・・リースが書いたのかな?」
取り出したアイテムは手書きで書かれていた。ぱらぱらとページを進め、目的のページで手を止める。
(今度、ちゃんとお礼を言わないとダメだな。)

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