《MUMEI》

そんな細やかな抵抗も、猪俣の前には成す術なく崩壊することになる…。



『…言いたくなければ言わなくていい。


どのみちお前は此所から生きては出られん…。』



猪俣は若い芒田に威しをかけると、ハンディタイプのグラインダーの電源を入れた。



「キュイイィーン!」



グラインダーは甲高い音をたて、ダイヤモンド粉をまぶした研磨板を凄まじい勢いで回転させた。



鋼鉄をも簡単に削りとる刃が、生身の人間の身体に触れようものなら………。



どうなるか想像することは容易い。

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