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《MUMEI》 「もョ!全然ダメ。」 亜沙美は膨れっ面で お弁当を抱えていた。 さっきのレースは散々だった‥‥らしい。 ‥‥そうでもなかったけどな。 「また次がありますよ。亜沙美さん。」 俺は在り来たりなフォローを入れたが、 亜沙美は納得出来なかったらしく、 「‥‥どうしたら、そんなに速く泳げるの‥?」 と聞いて来た。 亜沙美はどうして速くなりたいんだろう? 原田に気づいて、もらう為? そんなんだったら 協力なんて 絶対したくない。 「先輩‥。どうして速く、なりたいんですか‥‥?」 俺は あなたに‥‥ あなたの中に存在したいから‥―。 「‥‥え」 亜沙美が好きだから。 速くなって 誰よりも 速くなって 亜沙美を さらいに行くんだ。 誰も、 俺に勝てないように 速くなって‥‥。 「‥‥」 「‥‥優真‥は?」 亜沙美は 真っ直ぐに俺を見つめて言った。 「‥気づいてもらいたい人が、‥‥いるんだ」 ‥‥好きな人がいるんだ。 世界で一番、 好きなんだ。 亜沙美…―。 前へ |次へ |
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