《MUMEI》
ただのジョーク。されどジョーク。
「大丈夫か?」
中川は、まだグッタリしている雄大を心配そうな顔で除き込む。
「ん…。ケツ、ちょっと痛いけど…」
「クスッ。俺のデカイからな。」「何を呑気にっ…!!痛ってぇ…」
起き上がろうとしたら、余計痛みが走った。
「まだ寝てろって。」
中川は優しく雄大の髪をなでる。
「誰のせいだよ、コレ?俺初めてだったんだぞ!?なのにあんな‥激し…」
思い出したら恥ずかしくなり、枕に顔を埋める。
「でも気持ち良かったろ?」
「う……ん…」
ニヤつく中川を見て、更に恥ずかしくなったが、それでも正直に答えた。
あれだけヨガってては、今更嘘付いたってバレバレだ。
「アイツとも…」
「ん?」
「田辺ともヤッたの?」
知るのが怖かったが、この際だからと勇気を出して聞いてみた。
どうしても、自分が知らない二人の関係が気になって仕方がなかったのだ。
「…知りたいか?」
「え…?」
急にシリアスな顔になる中川に雄太は戸惑った。
「お前、ソレ聞いて後悔しないか?」
もう一度念を押す様に聞かれたら、益々知るのが怖くなった。
「やっぱいい!!」
(したんだ!絶対したんだ!!)
雄太は聞くまいと両耳を塞ごうとしたが、中川に阻止されてしまった。
「ヤダ!聞きたくないっつてんだろ!離せっ!離せよコノヤロー!!」
「落ち着けって!」
中川はジタバタする雄太をもう一度仰向けにさせると、その上に乗り身動きが取れない様にした。
「何もしてねぇよ。」
「…何も?」
「あぁ。ったく…ジョーダン通じねぇなぁ、お前は。」
(またジョーダン…)
「ま、そこがまた可愛いんだけど…って何泣いてんだよ!?」
急に泣き出した雄太に中川は焦った。
「ただのジョークじゃん、何も泣く事ぁねぇだろ?」
「あんたにとってはジョークでも、俺はスッゲー傷ついたんだぞ!!」
悪びれる様子がない中川を見たら、悔し涙が出た。
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