《MUMEI》
休めない冬休み
(よし、帰って寝よう)


頼が乗った電車が見えなくなったのを確認して、俺は家路を急いだ。


初雪は数日前に降ったが、積もるほどではなく、俺は自転車で駅に来ていた。


だから、割と早くアパートに戻ってこれた。


(それなのに、どうしているんだ…)


見上げた先


俺の部屋の前の廊下から、駐輪場の俺に向かって手を振る二人


志貴と、柊を見た時


俺は、白いため息をついた。



(止まってても仕方ないよな…)


自分に言い聞かせ、俺は重い足取りで、階段を上り


「「おはよう!」」

「…はよ」


一応、ハイテンションの二人の挨拶に、眠気をアピールしてみた。


「今日希教習所なんだ」

「私はバイト休みなの」

「…そう」


キラキラ輝く目を見ないように、欠伸をしてみた。


しかし


「祐也、スキーとスケートどっち行きたい?」

「…え?」


志貴の一言に、今度は俺の目が輝いた。


どちらも未経験な俺だが、どちらにもかなり興味があった。


「もちろん祐也はスキーだよね!」


どちらでも良かったが、決めつける柊に反発して俺はスケートを選択し、三人でスケート場に向かった。

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