《MUMEI》
再出発
「悪かったって!もう泣くなよ…」
「あんたが泣かせたんだろっ!?」
雄太は涙を拭おうとした中川の手を払い退けた。
「変に優しくすんな!その気もねぇくせに!」
「あるぜ?」
「どうせジョークだろ?」

(もう騙されたくない…)
強がりがバレないよう、バカにした振りをして鼻で笑った。しかし中川は真剣な目付きで、じっと雄太を見つめていた。

「もう言わねぇよ、んなモン。」
「どうだか。」
「マジで約束する。もう泣かれたくねぇし…それに言ったろ?特別だって。」
中川はそう言うと、もう一度涙を拭おうと雄太の顔に触れた。

「…今度は払い退けないんだな。」
「だって…」

(そんな事言われたら強がるだけ苦しくなるじゃん…俺、耐えらんねぇよ…)

「信じてくれんだ?」
「…うん。俺だって中川さんの事‥」
「一樹。」
「一樹の事特別っていうか、好き‥だもん。」
改めて‘好き’と言ったら胸がドキドキした。

「もっかい言って?」
「‥好き。」
「大好き?」
「大好き…。」
「雄太スゲー可愛い…」
中川はフッと笑うと雄太の胸に顔を埋めた。
「あ!?何して…っ」
「俺のモノって印」
雄太の白い肌にくっきりと紅い部分ができた。

「ずっと俺ん家居ろよ。金とか関係無しに。」
「本当に?いいの?」
「うん。だからさ…」
「ンンッ!アッ…何、アッアッ!」
「もう1ラウンドしよっか?」「えっ!?なんでそうなんのさ!!ってか俺まだケツが…」
「クスッ。大丈夫、今度は優しくするから…」
「あ!ちょっと‥ンンッ…。」


今、新しく二人の同棲生活が始まろうとしていた。
―終―

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