《MUMEI》
意外な二人
「何か、親子みたい」

「…俺、子供?」

「…ぷっ」


志貴の言葉にすねる柊は本当に子供みたいで


俺は思わず笑ってしまった。


「ひどいよ、祐也!」

「悪い悪いって、暴れんな…うわ」

「キャッ!」


そして、俺達三人は、同時にしりもちをついた。


(冷た…)


氷の固さと冷たさを体感していると


勢いよく、氷を削る音が隣でした。


(すごい)


猛スピードで来たにもかかわらず、すぐに止まった技術に俺は感心していた。


足元を見ると、俺達とは違う細長い刃のスケート靴が見えた。


「祐也も来てたんだな」

「え!?、お前守?」


俺が慌てて顔を上げると、ゴーグルを着けた男がいた。


(本当に守か?)


疑う俺に


「やっと追いついた!」


同じくスピードスケート靴にゴーグルの女性が颯爽と現れた。


(この、声)


普段と違うパンツスタイルに戸惑いながら、俺はその人物の名前を呼んでみた。


「…吉野?」

「こんにちは、先輩。何してるんですか?」

「一応、スケート」


俺と志貴は自力で立ち上がり


柊は、守に引っ張られ、よようやく立つ事ができた。

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