《MUMEI》

「‥今じゃ悪いかよ」

「珍しいな──君が僕に頼み事なんて」

「頼んでねーよッ」

真っ赤になっている

この様子からすると──

たぶん

かなり上がっているんだろうな──。

「〜〜〜〜〜ッ‥」

「珠季?」

「見んなッ」

余程恥ずかしくなったのか‥

珠季は反対側を向いてしまった。

「‥‥‥‥‥‥‥」

「───────」

そのまま‥

沈黙が流れる事

数秒間。

「‥!?」

珠季が驚いた様子で

僕の方を向く。

「何いきなり手ぇ繋いで来んだよっ‥」

「繋げと言ったのは君だろう?」

「──ぁ"〜ッたく! 暑苦しーんだよっ」

「フ‥」

「笑うんじゃねぇッ」

それでも珠季は

僕の手を放そうとはしない。

それどころか

思い切り強く

握り締めてきた。

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