《MUMEI》
愛は会社を救う(92)
「あなたにはまだ、会社は公器だという良識が残っている。それが、本当に有能な経営者の"血"というものなのですよ」
すでに創業家は失脚している。加えて、グローバル化以降の社会状況を考えれば、良識などという言葉が何の慰めにもならないことくらい、私にもわかっていた。
しかし、支店の中だけなら、彼の望みの数分の一でも叶えてやることは可能なはずだ。
「後は私に任せていただけませんか」
左手に缶ビールを持ったまま立ち尽くす丸亀の目をしっかりと見詰めて、私は力強く誓った。
「あなたの構想どおり、山下チーフを中心として仕事が進むような人間関係を必ず作ってみせますよ」
緊張の糸が切れたのか。
丸亀は玉砂利の上にへたり込むと、声を上げて泣き始めた。

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