《MUMEI》

日向といると、

何でもないような事が楽しかった。





周りの景色が、

キラキラして見えた。





日向がいると、

それだけでその場所は、

日溜みたいだった。





『ひなくん──』

『どうしたの? ナカちゃん』

『どこにもいかないでね?』

『ぇ』

『ひなくん、どこにもいかないでね‥?』





あたしは何でか、

日向がどこか遠くに行っちゃうんじゃないか、

って不安な時があった。





でもそんな時、

決まって日向はニッコリ笑って──





『どこにもいかないよ』





あたしの手を、

ぎゅっと握ってくれた。





日向の手は、

ほんとにあったかくて──

あたしは、

凄く安心した。

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