《MUMEI》

でも、

日向がいなくなると、

何か調子悪くて。





だから、

いつも日向が来てくれるのを待ってた。





『──那加ちゃん、日向君待ってるの?』

『‥うん』

『もうすぐ来るわ。心配しないで』

『分かってるもん』





そう強気な感じに言ってたけど、

ほんとは‥

泣きたい位寂しかった。





でも、

誰かがいる前じゃ泣けなかった。





──だから、

独りの時だけ泣いた。





そんな時、

日向が病室に駆け込んで来て──





『那加っ、プリン買って来たぞ!』





眩しい位の笑顔を、

あたしに見せてくれた。

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