《MUMEI》

あたしは、

日向とお喋りしたりするのが好きだった。





日向はよく、

あたしに外の様子を話してくれた。





タンポポが咲いてた、

とか──

スズメが枝に止まってた、

とか──

色んな事を、

あたしに話してくれた。





『那加、外出たいか?』

『ぇ』

『敷地内なら、散歩してもいいって戸田先生が──』

『‥やだ』





あたしは、

外に出るのが恐かった。





別に外が恐いんじゃなくて、

外にいる人が恐かった。





あたしが信頼出来るのは、

日向だけだった。





日向は、

あたしにとって信じられる¢カ在だった。

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