《MUMEI》

「──那加」

「ぇっ、何よ‥」

「──ほら」

「ゎ‥」





タンポポの綿毛だ──。





「可愛い──どこで見つけたの?」

「学校の帰り」

「わぁ‥」





綿毛なんて、

久し振りに見た。





「──くしゅッ」

「ぇ、大丈夫か?」

「〜〜〜〜〜〜‥」





あたしが俯いてると、

日向が窓を開けた。





「飛ばしてみるか?」

「ぇ」

「──ほら」





日向は、

綿毛をあたしに差し出した。





あたしはそれを受け取って、





「ふーっ」





息を吹きかけた。






綿毛は風に乗って、

羽みたいに飛んで行く。





「──ゎ──‥」

「綺麗だな──」

「うんっ」

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