《MUMEI》
懲りない男
「狩月、そこに居る3人を連れて行くのか?」
名前を呼ばれ、反射的に振り返ると・・
黒い服に身を包んだ式夜といつものように漆黒のローブで顔まで隠したハンディングが並んで立っていた。
「あ、おはよう式夜、ハンド。」
とりあえず、挨拶をしてみる狩月。
「おはよう、と返すべきなのであろうな。だが・・くっくっく・・・・実に面白い。式夜や彩詩ならば頷けるが、昨日会っただけのそなたの口からそのような言葉が出るとは・・」
満足気に笑いながら、挨拶を返すハンディング。
「・・・そこの3人を連れて行くのかと聞いている。質問に答えろ。」
やや不満げに声を出す式夜。相変わらず手厳しいなぁ〜とつい苦笑する狩月
「式夜、そう急かす必要もあるまい。我に対して日常会話をしようとする珍しいモノなのだから。」
ハンディングが式夜をなだめるように声をかける。
「ですが・・」
言葉を続けようとする式夜にボンカーが接近する。
「あぁ・・何と美しいんだ、その長い黒髪、黒い瞳・・貴女の名前を知るためならば僕は悪魔にでも魂を売ろう・・」
大袈裟な仕草をしながら式夜の手を取ろうとしたボンカーの動きが止まる。
「それ以上近づくな、本当に悪魔に魂を売ることになるぞ。」
無表情に言い放つ式夜。ボンカーの喉元にはいつ抜いたのか、刃を突き付けている。
「・・・えっと・・ボンカー下がって・・」
しばらくの沈黙の後、ボンカーに声をかける狩月。くっくっく・・とハンディングが小さく笑っている。
「式夜、剣を収めよ。彩詩からも無闇に抜刀するなと言われているのであろう?」
そう言いながら式夜の剣を手で軽く押し下げる。
渋々といった表情で
「・・解りました。」
剣を収める式夜。
「ボンカーもいつまで固まってるの!ほら立て!!」
想花がボンカーにチョップを叩き込む。
「・・・式夜って言うのか・・」
ぼそりと呟いたボンカーの声を聞いたのは狩月の他に誰かいたのだろうか・・どうやらまったく懲りていないボンカー。

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