《MUMEI》

「ひなたぁ、まだ描けないの?」





もう20分も経ってるのに、

日向はまだスケッチブックとにらめっこしてる。




「途中まででいいから見せて」

「ぅわッ、ちょっと待ってくれって‥」

「いつまで待たせるの?」

「‥もうちょっとだけ‥」

「〜〜〜‥さっきからそればっかりじゃない」

「スイマセン‥」





日向はヘコんでる。





どよーんとしてる。





──日向なのに。





「もぉ‥」





しょうがないんだから──‥。





「──えいっ」

「!?」





日向は、

ビックリしたみたいだった。





「な‥那加‥?」

「そんな顔しないの」

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