《MUMEI》

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そんな中…



何の糸口も無いまま、5年以上の歳月が流れ去ったある日のこと…。



猪俣の元に、一本の電話が舞い込んできた…。



『もしもし…アンタが猪俣さんかい…?』



それは千葉に本拠を構える暴力団組織…"道風会・小野組"の藤城という男だった。



『アンタ、実松(さねまつ)って詐欺師を探してるんだって?』



苗字の二文字目に"松"の字…



電話の相手が語った名前に、猪俣の目がギラリと輝いた。




聞けば実松は、道風会のフロント企業の出資金を持って姿を消した後だった。



藤城は実松の行方を追う最中、同じ人物を追う猪俣の存在を知り、コンタクトを取ってきたのだった。

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