《MUMEI》
3話 再び喫茶店で
午前9時45分。

僕は

珠季と待ち合わせをする公園に向かっていた。

初めて彼女とデートをした時も

待ち合わせ場所は公園だった。

あそこが一番──

待ち合わせには適しているからな。

「──ぁ」

もう

彼女は来ているみたいだ。

「おはよう。随分と準備がいいな──」

「何だよ、アタシが先に来てたら何か悪いのかよ」

「いや、ただ──雨が降らないかと少し気になっただけさ」

「なッ‥降る訳ねーだろっ!?」

僕は

ほんの冗談のつもりで言ったんだけど──

珠季は本気にしてしまったらしい。

彼女のこういう所にも

僕は惹かれてしまう。

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