《MUMEI》

──喫茶店に着いた。

窓際の席に

2人で向かい合って座っていると。

「──なぁ」

珠季が

話し掛けてきた。

「オマエ何食うんだ‥?」

「そうだな──‥今日はチョコレートケーキにしようか」

「‥じゃあ‥アタシも‥」

「ショートケーキじゃなくていいのかい?」

「きょ‥‥‥今日はそういう気分なんだよ」

素直に

僕と同じ物が食べたいから

と言わないのは──

彼女が照れ屋だから。

まぁ

僕も彼女の事を言える立場じゃないんだけどね──。

「‥おい、注文していいのか」

「ぁ、ぁぁ‥。──僕がやるよ。飲み物はいらないのか‥?」

「‥んじゃあ‥カフェオレ」

「了解」

じゃあ

僕もそれにしよう──。

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