《MUMEI》

「これでいいか?」

「うんっ、いい感じ」





ベッドの横の壁に、

絵を飾ってもらった。





何か、

たったそれだけの事なのに、

だいぶこの病室の雰囲気が変わった。





「明るくなったかも」

「?」

「この部屋──」

「いつも明るいと思うけど‥」

「雰囲気よ、雰囲気」

「雰囲気?」

「うん、何か賑やかになったみたいな感じするから」

「賑やか──」

「でしょ?」

「──そうかもな──」

「かもじゃなくてそうなの」

「ハイ、姫サマ‥」





日向は時々、

あたしの事を姫サマって呼ぶ。





何か──

くすぐったい気分。

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