《MUMEI》

「ねぇ、何で姫サマって呼ぶの?」

「だって俺は──」

「俺は?」

「俺は那加の召使だから」

「───────」

「だろ?」

「──じゃあ、何でも命令聞いてくれる?」

「約束したし、な」





そう言って、

日向はあたしの頭に手を乗せた。





──あったかい、

手。





‥でも‥

何か恥ずかしい。





「──ひなた、手離してよ‥」

「嫌か?」

「‥そうじゃないけど」

「──なぁ」

「何?」

「那加、大きくなったんだな──」

「ぁ‥‥‥‥あったり前でしょ? いつまでもちっちゃいままな訳ないじゃない」

「ぁぁ、そう──だよな」

「もぉ‥‥‥」





何か抜けてるっていうか‥。





日向は、

そうだからいいのかも知れないけど──‥。

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