《MUMEI》 暫くして チョコレートケーキと カフェオレが運ばれてきた。 珠季は ケーキを見つめたまま‥ 何だかぼんやりしている。 「──食べないのかい?」 「ぃゃ、食う。‥盗んなよ‥?」 「盗らないよ。同じ物を頼んだ訳だし──」 「‥ならいーけど」 珠季はフォークを取って ケーキを一切れ切り取った。 ゆっくりと 口に運ぶ。 「───────」 微かに── 頬が染まる。 「‥何だよシズル‥」 「ぇ、ぁ‥ぁぁ、済まないっ、僕はただ‥」 「──ははっ」 「珠季‥?」 何を笑っているんだ‥? 「ほら、ボケッとしてっとアタシに食われちまうぞ?」 「なッ‥そういう事はまず‥自分の分を食べ切ってからにするべきだぞ‥?」 前へ |次へ |
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